賃貸不動産経営管理士試験には個数問題・組み合わせ問題が出題されます。試験の難易度を上げるなら、さらに出題数を増やすかもしれません。
- 個数問題・組み合わせ問題は平成29年度から出題され始めた
- 宅地建物取引士試験での個数問題・組み合わせ問題の出題数(平成15〜29年度)
- 賃貸不動産経営管理士試験の難易度を上げるなら個数問題を増やすだろう
個数問題・組み合わせ問題は平成29年度から出題され始めた
当ブログ管理人は平成29年度賃貸不動産経営管理士試験を受験しました。
受験した方はどなたも第1問・第2問からいきなり個数問題・組み合わせ問題が登場して動揺したことと思います。なにしろ過去問には一問たりとも出題されてこなかったのですから!
平成29年度賃貸不動産経営管理士試験から個数問題・組み合わせ問題が出題され始めたのには宅地建物取引士試験(宅建)の影響が少なからずあると思います。
そこで、個数問題・組み合わせ問題が毎年必ず出題されている宅建での出題状況を紹介します。
賃貸不動産経営管理士協議会が賃貸不動産経営管理士試験の難易度を上げようとするなら、宅建のように個数問題の出題を大幅に増やすと予測されます。
では宅建の個数問題・組み合わせ問題の出題数の歴史をみてみましょう。
宅地建物取引士試験での個数問題・組み合わせ問題の出題数(平成15〜29年度)
表1は平成15年度から平成29年度における個数問題・組み合わせ問題の出題数です。
年度 | 個数問題 | 組み合わせ問題 | 合計出題数 |
---|---|---|---|
平成15年(2003) | |||
平成16年(2004) | |||
平成17年(2005) | |||
平成18年(2006) | |||
平成19年(2007) | |||
平成20年(2008) | |||
平成21年(2009) | |||
平成22年(2010) | |||
平成23年(2011) | |||
平成24年(2012) | |||
平成25年(2013) | |||
平成26年(2014) | |||
平成27年(2015) | |||
平成28年(2016) | |||
平成29年(2017) | |||
平成30年(2018) | |||
令和元年(2019) |
一般財団法人 不動産適正取引推進機構 | 宅建試験の概要 | 宅建試験の問題及び正解番号表より)
念のため平成14年度以前の試験問題にもざっと目を通したところ、 平成元年以降は平成2年度・3年度・10年度に個数問題が1問出題されていました。
◆宅建の過去問から言えることは次の3つです。
◆個数問題・組み合わせ問題が宅建で必ず出題されるようになったのは平成23年度試験から
◆個数問題・組み合わせ問題が合計7問以上出題されるようになったのは平成24年度試験から
◆宅建では組み合わせ問題より個数問題のほうがより多く出題されている
◆宅建の合格率は15〜17%。政策的に調整されていると思われますが、それにしてもこれほど個数問題が多いとは思ってませんでした。
特に、宅地建物取引主任者試験から宅地建物取引士試験となった平成27年度試験の個数問題の出題は顕著でした(筆者はこの年、初めて受験して合格点が2点足らず・・・泣きました)。
ちなみに平成30年度宅建試験では個数問題3問・組み合わせ問題1問と出題数が大幅に少なくなりました。難易度が下がった一因と考えられており、このことも相まってか合格点は過去最高の37点になっています。
賃貸不動産経営管理士試験の難易度を上げるなら個数問題を増やすだろう
個数問題・組み合わせ問題は、正直言って回避したい出題形式です。
そして、個数問題と組み合わせ問題を比べると、受験生にとってより厄介なのは個数問題です。なぜなら、個数問題は解答の組み合わせから正答を導くことができないため、すべての設問に答えなければいけないからです。
組み合わせ問題は解答の選択肢によっては正解を導くこともできます。
詳細は【賃貸不動産経営管理士試験】個数問題・組み合わせ問題の攻略法に!
設問そのものの難易度を据え置いたまま試験全体の難易度を上げるには、個数問題と組み合わせ問題の出題が効果的です。
平成29年度賃貸不動産経営管理士試験では講習修了者・非受講者ともに合格率が下がりました。設問自体の難易度が若干上がり、同時に個数問題・組み合わせ問題が合計10題も出題。合格率にこれらが影響しないとは考えにくいです。
試験実施側がさらに難易度を上げようとするなら、手っ取り早いのは宅建のように個数問題を増やすことです。
したがって、もし賃貸不動産経営管理士協議会が賃貸不動産経営管理士試験の難易度を上げようとするなら、宅建のように個数問題の出題を大幅に増やすと予測されます。
一方、合格率を平成29年度並に据え置くなら、同じ程度の問題が出題されるでしょうし、合格率を上げるのなら個数問題の出題を減らすでしょう。
【追記・検証】この記事は2018年に書いたものに平成30年・令和元年宅建試験のデータを追記しています。
では、実際の賃貸不動産経営管理士試験での個数問題・組み合わせ問題の出題数を検証してみましょう。
年度 | 個数問題 | 組み合わせ問題 | 合計出題数 |
---|---|---|---|
平成29年(2017) | |||
平成30年(2018) | |||
令和元年(2019) |
一目瞭然です。
賃貸不動産経営管理士試験の平成29年度合格率は48.72%、平成30年度合格率は50.73%でした。
一方、個数問題・組み合わせ問題が15問も出題された令和元年度試験の合格率は36.84%と大きく低下しています(合格点は平成30年度・令和元年度ともに40点中29点)。
賃貸不動産経営管理士試験の合格率データ>>>賃貸不動産経営管理士試験の合格率と難易度について
令和2年度試験でも昨年度と同様の個数問題・組み合わせ問題が出題されるかどうかはわかりません。
しかしながら、賃貸不動産経営管理士は2021年の国家資格化を控えています。
>>>賃貸不動産経営管理士、国家資格化は2021年6月
そのため、令和2年度から50問120分の試験となります。
出題数が10問増えることで難易度が高くなる上、さらに個数問題・組み合わせ問題が増えたらさらに難化します。
個数問題・組み合わせ問題への対策を常に意識しながら学習してください。