宅建テキストは各出版社から毎年数多く発売されています。当ブログではそれらの中からいくつか厳選して個別にレビューし、『おすすめできる/できない宅建テキスト2021:詳細レビュー(独学・初学者向け)』にまとめました。
TAC『2021年度版 わかって合格る 宅建士基本テキスト』(「合格る」は「うかる」と読みます)以外の宅建テキストも見ておきたい方はそちらもご一読ください。Amazonへのリンクから紙面デザインを確認できるものもあります。テキスト選びの参考になさってください。
2021年宅建試験合格を目指し、がんばりましょう。
【新着宅建教材案内】
1月26日発売なのでちょっと情報が遅くなってしまいましたが、『2021年版 パーフェクト宅建士聞くだけ (全3巻)』が実質無料で利用できます。おすすめです。
AmazonにAudible(オーディブル)というサービスがあります。いわゆるオーディオブック(本の文章を音声で聴く)です。
Amazon電子書籍サービスのKindleでもスマホ・タブレットの音声読み上げ機能はありますが、Kindle版宅建テキストは画像と認識されるため、音声読み上げ機能に対応していません。
耳からのインプットは記憶の定着にとても効果があります。でも、テキストCDやDVDは高価なものが多いです。
『2021年版 パーフェクト宅建士聞くだけ (全3巻)』も、販売価格は¥12,500と高価です。
でも、AmazonのAudibleを利用すれば、初めて登録する方は30日間無料で『2021年版 パーフェクト宅建士聞くだけ (全3巻)』を利用できます。しかもダウンロードしたものはAudibleを退会したあとでもそのまま利用できます。
このため、¥12,500の『2021年版 パーフェクト宅建士聞くだけ (全3巻)』の利用が実質無料となります(30日以内の退会手続きをお忘れ無く)。
そして、『2021年版 パーフェクト宅建士聞くだけ (全3巻)』の最大のメリットは12時間20分で宅建試験全範囲を一通り学習できること。
1日1時間15分聴けば10日で全範囲を1周できます。
実質無料かつ12時間ほどで宅建試験全範囲を1周できる製品版教材は、管理人の知る限りではこれだけです。
管理人はAudibleに登録したことがあるので、月額利用料¥1,500を払って『2021年版 パーフェクト宅建士聞くだけ (全3巻)』を聴いてみました。
『2021年版 パーフェクト宅建士聞くだけ (全3巻)』のナレーションは日建学院の教材でおなじみの佐藤まり江さんが担当しており、とても聴きやすいです。スマホ・タブレットの音声読み上げ機能とは比べものになりません。Amazonのページでサンプルを聴けますので試してみてください。
なお、紙版テキストの『2021年版パーフェクト宅建士基本書』と見比べながら聴いたところ、テキストをただ読み上げているのではなく、紙版テキストがなくても要点を理解できるよう丁寧に編集されていました。どの宅建テキストを使っている方でも、無料で使える方にとってはとても有用な教材です。
※誤って「1-Clickで購入する」を選択してCDを購入してしまった場合は返品できます。CDが不要でしたら商品が届いたら開封せずに返品手続きをしてください。CDが必要な方は何度も繰り返し聴いて十分に活用しましょう。
おすすめする宅建テキストとは
おすすめするのは「完走しやすい宅建テキスト」
◆宅建独学・初学者へおすすめできるのは、次の3点を備えたものです。
- テキスト部分が600〜650ページ以内と完走しやすく、
- 読みやすく編集されていて、
- リンクしている問題集があるもの
3点について説明します。
①宅建試験は合格者の60%が正解できる問題を得点できれば合格できるよう作問されています。
合格者の60%が正解できる問題のほとんどは基本的事項が問われています。
基本的事項をしっかり学習できるテキストを選び、繰り返し学習することが宅建試験合格への近道です。
そのためには、やたらと学習事項が詰め込まれたテキストより要点が絞られているテキストを使うほうが良いのです。
そして、テキストを買ったら絶対に1ヶ月で完走しましょう!
初めて宅建試験を受ける方にとって宅建の勉強は決して楽ではありませんが、1日20ページほどの学習をノルマにすれば600〜650ページのテキストを1ヶ月で完走できます。
②読みやすく編集されたテキストを選びましょう。
600〜650ページのテキストでも、やたらと小さい字やいろんな種類・いろんな色のフォントがページ内にこれでもか詰め込まれたものは知らず知らずのうちに目に負担がかかります。完走の妨げになりかねません。
③リンクしている問題集がある宅建テキストを選びましょう。
テキストで学習した項目はその日のうちに解きましょう。
はじめのうちは問題が解けなくて当たり前です。わからない問題はテキストの該当ページを見ながら解いて良いのです。
テキストの該当ページを見ながら解くためには、テキストの該当ページが掲載されている、すなわちテキストとリンクしている問題集が必須です。
テキストと問題集はかならずセットで揃えましょう。
おすすめできない宅建テキスト
◆合格に不要な情報までが詰め込まれていたり、フルカラーでもいろんな色・大きさ・種類のフォントを多用していたり、やたらと語呂合わせを多用する宅建テキストはおすすめできません。
初学者の方に絶対におすすめできないのは、宅建合格レベルをはるかに超えた情報まで記載されているテキストを使うことです。
◆宅建独学・初学者はテキストに書いてあることを全て覚えようとします。合格に不要な知識が多分に含まれていることを知らないままに過剰な情報を覚えようと努力し、時間を無駄に消費します。
その結果、テキストを完走できないまま本試験を迎えてしまうことさえあるのです。
◆初学者にはどこが宅建合格に必要でどこが不要なのかを見極めることができません。宅建合格に結びつかないところまで勉強する必要はないのです。
また、ページ数は多くないものの、やたらと語呂合わせを多用するテキストもおすすめできません。10秒以内で覚えられる短くてインパクトのある語呂合わせは効果的ですが、長い語呂合わせはそうはいきません。しまいには語呂合わせを覚えることに懸命になってしまい、知識の定着がおろそかになるからです。時間のムダです。
◆2021年宅建試験まで残り203日です。貴重な時間を無駄にしないよう、完走しやすいテキスト・問題集を使って6月までに最低3周できるようがんばってください。
ではTAC『2021年度版 わかって合格る 宅建士基本テキスト』 のレビューに移りましょう。
TAC『2021年度版 わかって合格る 宅建士基本テキスト』 基本データ
TAC『2021年度版 わかって合格る 宅建士基本テキスト』 基本データです。
書名 | 2021年版 出る順宅建士 合格テキスト |
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◆TAC『2021年度版 わかって合格る 宅建士基本テキスト』 は4分冊です。
テキスト部分は640ページ+「厳選過去問プレミアム50」の52ページ、計692ページが分冊可です(索引および余白ページを除く)。携行性は問題ありません。
◆Kindle版はありません。
◆「厳選過去問プレミアム50」は宅建本試験を想定した問題数(統計含む50問)となっていますが、本試験とは出題の順番が違っていることに注意してください。
◆各項目の重要度はランク分けされず、「!重要」とマークされています。これは大きなマイナスポイントです。「!重要」だけではAランク項目(最優先必須項目)なのかBランク項目(優先必須項目)なのかがわかりません。来年度版での改善を望みます。
◆フルカラー印刷ですが、重要項目は黒太字と赤太字で印刷されています。赤太字は赤シートに対応しています。赤シートも付属しています。
◆本書は全体的にフォントが小さいです。さらに、黒太字と赤太字の強調箇所は本文テキストと違うフォントになっています。管理人には読みにくく感じられました。
◆ページ数こそテキスト部分640ページにおさまっていますが、フォントが小さいため実質700ページをゆうに超える分量とみたほうが良いでしょう。
TAC『2021年度版 わかって合格る 宅建士基本テキスト』 レビューポイントチェック
それではTAC『2021年度版 わかって合格る 宅建士基本テキスト』について2つのレビューポイントをチェックしましょう。
宅建本試験に不要な情報まで書かれているため、初学者にはおすすめしない
宅建初学者にできないことの一つが、「これまでの宅建本試験にほとんど出題されない情報を見極めること」です。
信頼できる資格スクール・講師はこのことをきちんと教えてくれます。プロを利用する大きなメリットは無駄の少ない学習にあります。
初学者にもできる2つのポイントについてチェックします。
◆1つ目は「民法○○条」と条文番号が書かれているかどうかです。
民法○○条とか借地借家法第9条・第33条だのと書かれている宅建テキストもありますが、宅建本試験を解く上でそんなことを覚える必要はまったくありません。
しかしながら・・・
本書ではこんな具合に条文名が付されています。
未成年者には、親権者、もしくは未成年後見人という保護者がつけられます。未成年後見人については、一定の者の請求により家庭裁判所が選任するほかに、遺言による場合もあります(839条、840条)。(本書p.10より引用)
すでに述べた通り、宅建本試験では条文番号まで暗記する必要はまったくありません。
例えば、令和元年度宅建本試験の権利関係14問で○○法○○条が登場したのは問5の判決文問題と問12の借地借家法第39条だけです。
他の問題でも○○法○○条は出題されていますが、覚えておかなければいけないのは宅建業法34条・35条・37条と農地法3条・4条・5条くらいです。
受験生には宅建本試験でまず出題されない知識を頭に入れる暇などありません。時間は有限です。
不要な知識をインプットしないことはとても重要なのです。
とはいえ、条文番号もおさえておきたい受験生にはテキストの選択肢の一つとなるでしょう。
◆2つ目は国土利用計画法です。『らくらく宅建塾』のレビューでも書きましたが、宅建本試験では国土利用計画法の監視区域・注視区域・規制区域についてはほぼ出題されていません(監視区域内の事前届出についてのみ出題されています)。
本書では国土法に19ページも割いています。そこまでの分量は宅建本試験では不要なのです。しかも国土法にまで「事後届出制の内容(23条〜27条の2)(本書p.504)」と条文番号が書かれています。
※本書には条文番号が権利関係・法令上の制限のみならず宅建業法にまで付されています。
国土法はあくまで一例にすぎませんが、本書は宅建本試験の範囲を超えた情報まで記載されている宅建テキストです。
宅建本試験にまず出題されないことまでしっかり勉強したい方はそこまで暗記しておいてもかまわないでしょう。ですが、宅建初学者にはおすすめできません。
ではデザインについてチェックしましょう。
テキスト本文は読みにくいが図表は見やすい
すでに述べた通り、テキストの強調箇所には黒太字と赤太字が用いられており、しかも本文と強調箇所のフォントが違います。
より強調したい編集意図のあらわれとは思いますが、本文テキストを読んでいると目が疲れてきます。もちろん個人差はありますので、購入前に確認することを強くおすすめします。
一方、図・表、特に「理解しよう」と「試験に出る!POINT整理」は見やすいです。
フルカラーの宅建テキストなかには、図表に大小・各色・各種フォントを散りばめたせいでかえって見難いものがあるのですが、本書はそんなことはありません。図表に関しては見やすくデザインされています。
本文テキストに過去問出題年が表記されている点は評価できる
初学者向けテキストとして本書はおすすめできないのですが、他の宅建テキストにはあまり見られない本書独自の長所としてあげておきたいのが、本文テキストに過去問出題年が表記されていることです。
過去問に出題された事項については、本文テキストに赤下線が引かれ、下線末端の下に「H20」と書かれています。
本文テキストをぱっと見て、赤下線があるところ、しかも「H22・27・28」などと書かれていたら、そこが頻出箇所ということが一目でわかります。「H○○」のフォントこそかなり小さいものの、この点は評価できます。
ただし、この下線も人によっては目障りになりかねません。
本文テキストのアイデアは理解できるのですが、人によって意見が分かれるデザインと言えるでしょう。
インターネットアフターサービスあり
宅建テキストは、一度購入したらそれでOKというわけではありません。
とくに誤植等の正誤はどんなテキスト・問題集でもつきものです。TAC出版書籍通販サイトの正誤表ページを必ず確認してください。
また宅建は毎年4月時点の法改正が試験範囲に入ります。出版時期によってはそこをカバーしていないテキストがあるのはある程度やむを得ません。
この点をフォローするのがインターネットアフターサービスです。
TAC『2021年度版 わかって合格る 宅建士基本テキスト』には、法改正、統計情報等のインターネットサービスが用意されています(Web登録後に資料発送、登録期限は2021年9月30日)。テキストの「本書の利用方法」に目を通しましょう。
長所・短所
- 図表は見やすい
- テキストに過去問出題年が表記されていて、頻出箇所がすぐ判別できる
- インターネットアフターサービスあり
- 本文テキストに複数種のフォントが混在しているため、目が疲れやすい(人によりけりなので要確認)
- 宅建合格に不要な情報が含まれているため、初学者がさくさく読み進められるテキストとは言えない
市販宅建テキストで最も情報量が多いのはLEC『2021年版 出る順宅建士 合格テキスト』ですが、そこまではいかないまでも本書TAC『2021年度版 わかって合格る 宅建士基本テキスト』にも試験範囲を超えた情報が記載されています。このため、「初学者がさくさくと繰り返し読みこなしてどんどんインプットする」タイプの宅建テキストではありません。
ただし、「分冊版」で「条文番号を含めた広範囲な学習をしたい受験生」には向いているかもしれません。
なお、本書にはリンクしている問題集と、同じくリンクしているDVDがあります。DVDでは本書の内容を約20時間で一通り学習できるとのことです。