『出る順宅建士 合格テキスト』2024年版①権利関係、②宅建業法、③法令上の制限・税・その他の購入レビューです。※2024年版のレビューは「初学者向けかどうか」という視点から書きました。2025年版は視点を改める予定です。
注:初めて宅建を学習する方がいきなりテキスト・問題集で学習し始めることはおすすめしません。
宅建学習も英語学習と共通点があります。英語学習は単語を覚えることが基礎の基礎ですよね?
宅建も同じです。宅建は法律用語を覚えることが基礎中の基礎です。
善意、悪意、過失、制限行為能力者、区分所有者、相殺、錯誤、被相続人などは基礎の基礎です。
取消と無効の違いを説明できますか?これも基礎の基礎。
まずは宅建用語に慣れることから学習をスタートし、はじめの10日間をかけて宅建試験全体の解像度を上げておく(用語に慣れる、どの法律からどんなことが出題されるのか、どの法律から何問出題されるのか、などなど)ことを何よりもおすすめします。
教材は無料で入手できる『パーフェクト宅建士 聞くだけ』がベストです。
LEC『出る順宅建士 合格テキスト』 2024年版基本データ
LEC『2024年版 出る順宅建士 合格テキスト』基本データです。 このテキストは3冊構成になっています。「3分冊」ではなく「3冊」です。
書名 | 2024年版 出る順宅建士 合格テキスト |
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価格 | |
Kindke版の価格 | ②宅建業法¥2,156 税・その他¥3,000 |
分冊の有無 | |
ページ数 (索引除く) |
②宅建業法303頁 税・その他473頁 |
発行所 | |
発行日 | ②:2023年12月25日 ③:2024年1月5日 |
色 | |
付録 | |
ネットサービス | |
著者名 | LEC総合研究所 宅建士試験部 |
◆最近の宅建テキストは分冊版が目立ちますが、LEC『2024年版 出る順宅建士 合格テキスト』は分冊なし、3冊シリーズとなっている宅建テキストです。
このテキストは次の3冊から成っています。
- 権利関係(430頁)
- 宅建業法(303頁)
- 法令上の制限・税・その他(473頁)
※ページ数はいずれもテキスト部分のみ(巻頭の「はしがき」、「本書の使い方」および巻末索引は含まず)。
総ページ数は1206ページにもなります。
ブログ管理人が知る限り、市販の宅建テキストでは最大の分量を誇ります。
3冊を常時持ち運ぶには重すぎますが電子書籍版(Kindle、楽天Kobo)があります。
◆冒頭にはテキストの使い方とガイダンスがあります。
しかしながら「宅建士試験に合格するためには、7割程度の点数をとれるかどうかが目安となることが分かります」とあるのはいかがなものかと思います。
なぜなら、平成30年度の合格点は37点、令和2年度(10月試験)の合格点は38点だったからです。
過去最高の38点という合格点が出た以上、宅建本試験で最低でも38点(7割6分)はとらないと安心できません。最低でも38点取ることを目安に心して受験勉強に取り組んでください。
◆各章には重要度ランク(A・B・C)と過去10年間の出題傾向が、各項目には過去10年間の出題問題数(例えば取得時効は過去10年間で5回出題など)が付されています。
なにしろ分量が多いテキストです。Cランク項目は完全後回しにするなど、重要度ランクを目安にメリハリを付けて学習するほうが良いかもしれません。
◆重要項目は黒太字と赤太字で強調されています。赤太字は赤シートをかぶせると読めなくなりますが、他の文字(枠のタイトル)なども読めなくなります。赤シートを使っての学習用にはデザインされてません。
◆なお、タイトルにある「出る順」とは"はじめて宅地建物取引士試験の受験勉強をする方がスムーズに受験対策に入れるように、試験に「出る順」に解説し・・・"とのことです。
なお、LECの5問免除講習では本書と同じ内容の教材を使うとのこと。それだけ充実した内容のテキストとなっています。
LEC『2024年版 出る順宅建士 合格テキスト』 詳細レビュー
それではLEC『2023年版 出る順宅建士 合格テキスト』について2つのレビューポイントをチェックしましょう。
宅建初学者にできないことの一つが、「これまでの宅建本試験にほとんど出題されない情報を見極めること」です。
信頼できる資格スクール・講師はこのことをきちんと教えてくれます。プロを利用する大きなメリットは無駄の少ない学習にあります。
初学者にもできる2つのポイントについてチェックします。
◆1つ目は「民法○○条」と条番号が書かれているかどうかです。
民法○○条とか借地借家法第9条・第33条と書かれている宅建テキストもありますが、宅建本試験を解く上でそんなことを覚える必要はまったくありません。
しかしながら・・・
本書では条番号のみならず、条文までもが記載されています。たしかに条文は参考になりますし、余裕があれば目を通しておいて損はありません。
しかしながら、初学者で時間のない方には負担にしかなりません。おすすめできません。
◆2つ目は国土利用計画法です。
宅建本試験では国土利用計画法の監視区域・注視区域・規制区域についてはほぼ出題されていません(監視区域内の事前届出についてのみ出題されています)。遊休土地に関する措置についても過去10年間で一度も出題されていません(※多くの宅建テキストにはそもそも遊休土地に関する措置についての記載自体ありません)。
本書では国土法に24ページも割いています。そこまでの知識は不要です。
国土法に限らず、本書には宅建本試験にまず出題されないことまでしっかり記載されています。宅建初学者には完全にオーバースペックです。
LEC『2024年版 出る順宅建士 合格テキスト』は、市販宅建テキストの中では破格の分量を誇っています。
一方、初学者にはまったく不向きなテキストと言わざるを得ません。可処分時間に制約がある中で要点を学ぶタイプの構成にはなっていないからです。
ではなぜ本書がおすすめテキストに残っているかと言うと、
Kindle版を購入してスマホ等でいつでも調べ物に活用するにはうってつけだからです。本書以上に詳しくてKindle版もある市販宅建テキストは今のところ存在しません。
また、本書はLECの5問免除講習でテキストとして採用されています。内容についてはしっかりしています。
※出る順宅建士合格テキストは市販宅建テキストとしては最大の分量を誇りますが、それでも成年後見監督人についての記載はありません。管理人が購入したテキストのうち成年後見監督人についての記載があるのは『パーフェクト宅建士 基本書』だけでした。
ではデザインについてチェックしましょう。
読みやすくデザインされている宅建テキスト
すでに述べた通り、テキストは2色刷で強調には黒太字と赤太字が用いられています。
- 各項目冒頭の「ケーススタディ」およびテキスト本文のフォントは読みやすいです。
- 図・表のフォントも読みやすいです。
- アドバイス・プラスα等が欄外にあり、それらには小さいフォントが用いられていますが、いずれも問題ありません。
テキストそのものは総じて読みやすくデザインされています。
読みやすいデザインのテキストではありますが、なにしろ情報量が多すぎます。購入する場合は勉強時間をどう確保するか、そしてインプット項目をどう取捨選択するかが重要になるでしょう。時間に制約がある方および初学者には重荷です。
インターネットアフターサービスあり
宅建テキストは、一度購入したらそれでOKというわけではありません。
宅建は毎年4月時点の法改正が試験範囲に入ります。出版時期によってはそこをカバーしていないテキストがあるのはある程度やむを得ません。
この点をフォローするのがインターネットアフターサービスです。
LEC『2024年版 出る順宅建士 合格テキスト』には、訂正表、法改正、統計情報等のインターネットサービスが用意されています。
目次の次のページにインターネット情報提供サービスについて書かれています。なお本書第3巻pp.421 -426の「不動産の需給・統計」で統計について記載されており、そこでもインターネット情報提供サービスを参照とのことが書かれています。
LEC『2024年版 出る順宅建士 合格テキスト』を購入したらインターネットサービスを定期的にかならずチェックしましょう。
長所・短所
- 市販宅建テキストで最高の情報量を誇る
- 時間に余裕のある受験生向け
- インターネットアフターサービスあり
- 初学者がさくさく読み進められるテキストではない
市販宅建テキストで最も情報量が多いのは本書LEC『2024年版 出る順宅建士 合格テキスト』です。
本書は「初学者がさくさくと繰り返し読みこなしてどんどんインプットする」タイプの宅建テキストではありません。ただし、試験範囲を超えてまでもがっちり勉強したい方にとってこれ以上のテキストはないでしょう。
■当サイトでおすすめする市販宅建テキストについては宅建テキスト2024【4シリーズ全購入レビュー】をご参照ください!