【2020.2.13】ブログ管理人が購入した宅建テキストについては『【宅建テキスト・問題集・過去問題集】独学・初学者向けおすすめレビュー』にまとめてあります。TAC『2020年度版 みんなが欲しかった! 宅建士の教科書』以外の宅建テキストも見ておきたいときはそちらもご一読ください。Amazonへのリンクから紙面デザインを確認できるものもあります。テキスト選びの参考になさってください。
2020年宅地建物取引士資格試験合格を目指し、がんばりましょう。
宅建テキスト選びの考え方
市販テキストで宅建を勉強する独学・初学者にとって、宅建テキスト選びは何より大切です。
宅建テキスト選びのお手伝いのため、現役宅建士のブログ管理人が実際にTAC『2020年度版 みんなが欲しかった! 宅建士の教科書』を購入、詳細にレビューしました。宅建テキスト選びの参考になれば幸いです。
レビューポイントは主に次の二つです。
- 読みやすいフォント・色・紙面構成になっているか
- 合格に不要な情報が掲載されていないかどうか
フォント・色・紙面構成はテキストの読みやすさ=視覚への負荷の度合いに直結します。
合格まで長い時間を共にするテキストは、目が疲れないもの、頭に入りやすいものを選ぶべきです。
もう一つは、本試験では問われない・出題されない、すなわち合格に不要な知識まで掲載していないかどうかです。
宅建に合格し、現役宅建士となってからあらためて各出版社の宅建テキストを見直すと、宅建本試験にはまず出題されない知識を何年も掲載しているテキストの存在に気付きました。
そういう知識も含めて勉強したい方にとってはそのテキストで何も問題ありません。
しかしながら、本試験に出題される可能性が低い、というかほぼない事項までインプットするのは受験生にとって有意義と言えるでしょうか?管理人はそうは思いません。
時間は有限な資源です。仕事や学業や家事の合間を縫って勉強する受験生には、本試験に不要な知識までインプットする時間はないのです。
以上、①読みやすいフォント・色・構成になっているか、②合格に不要な情報が掲載されていないかどうか、をレビューのポイントとしました。
ではTAC『2020年度版 みんなが欲しかった! 宅建士の教科書』のレビューに移りましょう。
『2020年度版 みんなが欲しかった! 宅建士の教科書』 基本データ
TAC発行の『2019年度版 みんなが欲しかった! 宅建士の教科書』基本データです。
書名 | 2019年度版 みんなが欲しかった! 宅建士の教科書 |
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価格 | |
Kindke版の価格 | |
分冊の有無 | |
ページ数 | ③法令上の制限・税・その他190頁、 |
発行所 | |
発行日 | |
色 | |
付録 | |
ネットサービス | |
著者名 | |
著者の宅建合格点予想実績 | |
◆全部で約600頁のボリュームですが、3分冊に分けられます。携行性は問題ありません。分冊それぞれの巻末に索引が付いてます。
なお、2019年度版より権利関係が24ページ、参考編が11ページ増量されました。
◆Kindle版はありません。
◆発行はTAC出版。フルカラーです。
重要項目は赤字で書かれており、参考書によくある赤シートに対応しています。赤シートも付録についています。
◆巻頭企画が二つあります。
一つは「目で見る用途地域」。各用途地域がカラー画像とともに紹介されています。
もう一つは「目で見る補助的地域地区」。こちらも補助的地域地区(特別用途地区とか高度利用地区とかですね)がカラー画像とともに紹介されています。
用途地域・補助的地域地区はどちらも重要項目ですが、テキストの文章だけではなかなかイメージしにくいのが難点です(国土交通省のHPなどを参照するのが良いです)。
『2020年度版 みんなが欲しかった! 宅建士の教科書』の巻頭企画は用途地域・補助的地域地区をイメージするのに役立ちます。ひとつ残念なのは田園住居地域の画像がなかったことですが、田園住居地域についてはこちらの記事をご参照くだされば、と思います。
【2018年度宅建試験重要項目】田園住居地域制度の創設(新たな用途地域の追加)
『2020年度版 みんなが欲しかった! 宅建士の教科書』 詳細レビュー
それではLEC『2020年度版 みんなが欲しかった! 宅建士の教科書』の詳細レビューです。
「板書」が見づらい
2019年度版に引き続き、テキストは、①主説明文、②「板書」と呼んでいるイラスト付き要点解説、③応用知識や補足資料等を記した「ひとこと」、④1〜2題の例題から構成されています。
気になるのはあいかわらず板書が見づらいことです。
フルカラーを活かしたとてもカラフルな板書ではありますが・・・
- 主説明文と違うフォントを使っている
- かなり小さなフォントを使っている
- 色使いが多すぎると感じる
これら3つが相まったため、ブログ管理人には板書が非常に見づらいです。
小さいフォントの部分は、老眼が進行している方は老眼鏡やハズキルーペを使ったほうがよいかもしれません(管理人はハズキルーペを使わざるを得ません)。
本書のコンセプトは"「読む」というより「見て」わかる本"です(はしがきより)。
このコンセプトにしたがって、視覚的にわかりやすくしようとの配慮から本書を構成していることは理解できます。
しかしながら、色とフォントの大小を多用しすぎる「こだわりのカラー図解」はむしろインプットを妨げかねません。見る(読む)のによけいな労力がかかってしまうんですね。
もちろん、これは人によって好みが別れるところです。若い方にはカラフルさ・フォントの小ささは苦にならないかもしれません。書店で手に取って検討してください。
本試験にはまず出ない箇所をカット、無駄を省いた内容
板書が見づらいという欠点はありますが、全体に目を通して思ったことは、本試験にはまず出ない箇所は割合きっちりカットされていて好感がもてる、ということです。
宅建初学者にできないことの一つが、「これまでの宅建本試験にほとんど出題されない項目を見極めること」です。
信頼できる資格スクール・講師はこのことをきちんと教えてくれます。プロを利用する大きなメリットは無駄の少ない学習にあります。
具体的なチェックポイントについては伏せさせていただきますが、『2020年度版 みんなが欲しかった! 宅建士の教科書』では無駄な点がわりとカットされています。
例えば「民法○○条」は一切使われていません。(宅建業法「34条の2書面」「35条書面」と「37条書面」や農地法の3条・4条・5条はちゃんとあります)。
民法○○条とか借地借家法第9条・第33条だのと書かれている宅建テキストもありますが、宅建本試験を解く上でそんなことを覚える必要はまったくありません。
管理人が宅建受験初年度に選んだテキストには、本試験に出ない箇所についても丁寧に記述してありました・・・
テキストに書いてあるならそれは勉強しておかないといけない、と思うのが受験生です。しかしながら、宅建本試験でまず使うことのない知識を読んでいる暇などありません。
不要な知識をインプットしないことはとても重要なのです。
『2020年度版 みんなが欲しかった! 宅建士の教科書』ではその心配はさほどありません。
本書とLEC『2020年版 きほんの宅建士 合格テキスト』を比べると、本書のほうが記述されている内容は若干多いです。『2020年版 きほんの宅建士 合格テキスト』でカットされていた400万円以下の低廉な空き家等の売買・交換の媒介報酬についても書かれています。
民法改正について、どこが改正点なのかについての記載がない
本書は例年Amazonでも売れ筋の宅建テキストです。板書が見づらいという欠点はありますが、そう思わない受験生にとっては決して悪くない宅建テキスト・・・と思っていました。
しかしながら、2020年度宅建試験についてはちょっと本書はおすすめできません。
その理由は、本書は改正民法に対応してはいるものの、前書きにも本文にもどこが改正点に該当しているのかまったくわからないからです。
宅建を初めて受験する方にとっては改正点がどこであろうとすべからく勉強すべきなのだから、あえて情報量を多くする必要はないかもしれません。
でも、宅建は新たな法改正点が試験に出題されやすい特性があります(例えば平成30年度試験)。手間はかかりますが民法改正について前書きで数ページを費やすとか、権利関係の本文中に改正点を明示するなど、受験生への配慮のしかたはあったと思います。
もし本書を宅建テキストとして選んだ受験生は、民法改正についての参考書を別途用意することをおすすめします。
参考書としては、本来情報量が多すぎるため宅建初学者にはおすすめしていないけれど民法改正についての解説が最もしっかりしている『出る順宅建士合格テキスト①権利関係』もしくは『宅建士「民法大改正」スピード攻略』です。
インターネットアフターサービスあり
宅建テキストは、一度購入したらそれでOKというわけではありません。
宅建は毎年4月時点の法改正が試験範囲に入ります。出版時期によってはそこをカバーしていないテキストがあるのはある程度やむを得ません。
この点をフォローするのがインターネットアフターサービスです。
『2019年度版 みんなが欲しかった! 宅建士の教科書』には法改正のフォローサービスがあります。
※はしがきに小さく記載されているので見落とさないようご注意ください。
管理人も最初は見落としていました。なお、付属の登録ハガキを出すと冊子が送付されるとのことです(TAC情報会員登録ハガキと書かれており、これを出すと各種セミナー・講座案内も送付されてくるようです)。
ほかにも正誤表とテキストに掲載されている例題のダウンロードサービスがネットで利用できます。例題ダウンロードサービスは購入者特典です。スマホ用となっていますがPCでも閲覧できます(確認済み)。
『2019年度版 みんなが欲しかった! 宅建士の教科書』を購入したら、かならずチェックしましょう。
長所・短所
- 赤シートで学習したい方には安心
- 無駄を省いた内容
- インターネットアフターサービスあり
- フォントのサイズと色が多用されており、人によっては見づらく感じる
- 民法改正について受験生への配慮が足りない
管理人にはちょっと見づらく、視覚に負荷がかかりやすい宅建テキストと言わざるをえませんが、好みのレベルかもしれません。
気になる方はテキストを実際に見てからご判断ください。
◆本書とリンクしている問題集は、TAC『みんなが欲しかった!宅建士の問題集』です。
◆おすすめ過去問題集は次の2冊です。
この2冊の大きな違いは過去問の並べ方です。
◆過去問1年分50問ずつ学習するには『2020年度版みんなが欲しかった!宅建士の12年過去問題集』が良いです。合格点が高い年から低い年の順に掲載されています。
特定分野、例えば"時効"について、"重要事項説明"についてなどを集中的に過去問に取り組むときは分野別にまとめられている『2020年度版スッキリとける宅建士 過去問コンプリート12』がとても便利です。