2018年度宅建試験では法改正から例年にないほど多く出題され、法改正問題への対応が合否を分けたとまで言われました。
「低廉な空き家等の売買・交換の媒介報酬(宅建業法改正より)」は2018年度法改正のひとつですが、2022年度試験にも出題される可能性は否定できません。今一度チェックしておくことをおすすめします。
低廉な空き家等の売買・交換の媒介報酬(宅建業法改正より)
低廉な空き家等の売買・交換の媒介報酬(宅建業法改正より)について紹介します。
400万円以下の低廉な空き家等の売買・交換の媒介報酬について
平成29年12月8日国土交通省告示第1155号から引用します。
第7 空屋等の売買又は交換の媒介における特例
低廉な空家等(売買に係る代金の額(当該売買に係る消費税等相当額を含まないものとする。)又は交換に係る宅地若しくは建物の価額(当該交換に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該交換に係る宅地又は建物の価額に差があるときは、これらの価額のうちいずれか多い価額とする。)が400万円以下の金額の宅地又は建物をいう。以下「空家等」という。)の売買又は交換の媒介であって、通常の売買又は交換の媒介と比較して現地調査等の費用を要するものについては、宅地建物取引業者が空家等の売買又は交換の媒介に関して依頼者(空家等の売主又は交換を行う者である依頼者に限る。)から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)は、第2の規定にかかわらず、 第2の計算方法により算出した金額と当該現地調査等に要する費用に相当する額を合計した金額以内とする。この場合において、当該依頼者から受ける報酬の額は18万円の1.08 倍に相当する金額を超えてはならない。(※当時の消費税では「18万円の1.08倍」でしたが、消費税増税後は「18万円の1.1倍」となっています)
要点を抜粋します。
- 400万円以下の空屋(宅地・建物)等の売買・交換の媒介
- 通常より現地調査に費用がかかる場合
- 依頼者(売り主または交換の依頼者)から受けることのできる報酬は、通常の媒介の計算による金額と現地調査等にかかった費用を合計した金額、ただし、18万円の1.1倍(19万8,000円)が限度
400万円以下の空屋の売買・交換の媒介の場合、現地調査にかかった追加費用分の報酬は売り主(又は交換の依頼者)からしか受け取れず、媒介報酬と合計して上限は19万8,000円ということになります。
資料:https://www.chiba-takken.or.jp/files/topics/data_fa4829b0434a311386c09a9d90f2e5ab_2.pdf
平成30年度宅建本試験で実際に出題された問題
低廉な空き家等の売買・交換の媒介報酬について、平成30年度宅建本試験で実際に出題されました。解いてみましょう。
平成30年宅地建物取引士資格試験【問31】
【問31】宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が受け取ることのできる報酬の上限額に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1 土地付中古住宅(代金500万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、Aが売主Bから媒介を依頼され、現地調査等の費用が通常の売買の媒介に比べ5万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する場合、その旨をBに対し説明した上で、AがBから受け取ることができる報酬の上限額は280,800円である。2 土地付中古住宅(代金300万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、Aが買主Cから媒介を依頼され、現地調査等の費用が通常の売買の媒介に比べ4万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する場合、その旨をCに対し説明した上で、AがCから受け取ることができる報酬の上限額は194,400円である。
3 土地(代金350万円。消費税等相当額を含まない。)の売買について、Aが売主Dから媒介を依頼され、現地調査等の費用が通常の売買の媒介に比べ2万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する場合、その旨をDに対し説明した上で、AがDから受け取ることができる報酬の上限額は194,400円である。
4 中古住宅(1か月分の借賃15万円。消費税等相当額を含まない。)の貸借について、Aが貸主Eから媒介を依頼され、現地調査等の費用が通常の貸借の媒介に比べ3万円(消費税等相当額を含まない。)多く要する場合、その旨をEに対し説明した上で、AがEから受け取ることができる報酬の上限額は194,400円である。
(http://www.retio.or.jp/past/pdf/H30-question.pdfより引用)
宅建業法における報酬計算は頻出される問題です。宅建本試験では電卓を使えないため、日頃から筆算で慣れておくこと大切です。
しかしながら、
この問題に限っては「400万円以下の低廉な空き家等の売買・交換の媒介報酬」の要点さえ押さえていれば、報酬計算するまでもなく正解を導けるのです。
問31の肢1、肢2、肢4の青太字を見てください。
- 肢1は代金500万円の売買の媒介です。代金500万円は「400万円以下の低廉な空き家等の売買・交換の媒介報酬」の対象外なので不正解です。
- 肢2は代金300万円の売買の媒介です。しかしながら依頼は買主Cからになっています。「400万円以下の低廉な空き家等の売買・交換の媒介報酬」 の対象は売主からの依頼なので、買主からの依頼は対象外、不正解です。
- 肢4は貸借です。貸借は「400万円以下の低廉な空き家等の売買・交換の媒介報酬」 の対象外、不正解です。
このように、平成30年度問31は、法改正情報を把握し、要点を整理して押さえていれば難なく解ける問題でした。
平成30年度本試験は法改正問題が頻出したため、市販テキストのみで独学し、法改正情報をつかんでいなかった方は得点源をかなり失ったものと思われます。
宅建初学・独学者が陥りやすい穴の一つが法改正情報を入手しないまま本試験を迎えることです。ぜひご注意ください。
◆最新法改正の適用が必要な過去問(2010〜2019の10年分)の問題番号については宅建過去問12年分の入手先および要法改正問題番号情報を参照ください。
◆2022年度宅建の試験日は2022年10月16日です(令和4年度(2022)宅建試験日と申込日程について)。
◆当ブログでは2022年10月16日15:00以降、資格スクール各社・宅建講師が公表する解答速報および合格ライン・合格点ボーダー情報をお伝えします。
→宅建合格点2022(令和4年度試験)予想と合格ライン・解答速報