賃貸不動産経営管理士試験過去問:平成30年度問9(サブリース方式による賃貸管理)について、該当する公式テキストのページを記載するとともに要点を簡潔に解説します。
平成30年度賃貸不動産経営管理士試験には『賃貸不動産管理の知識と実務 改訂3版:賃貸不動産経営管理士公式テキスト』そのままの文章が頻出しました。このため、賃貸不動産経営管理士試験対策の一つは公式テキストを中心に勉強することと言えます。
とはいえ、1,000ページもの分厚いテキストのどこに出題文がのっているのかを探すのは手間がかかります。このエントリーが賃貸不動産経営管理士試験合格の一助になれば幸いです。
賃貸不動産経営管理士試験過去問解答解説 平成30年度問9
平成30年度
【問9】管理業者がサブリース方式により賃貸管理を行う場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 サブリース方式による管理の場合、管理業者は原賃貸人の代理人の立場で賃貸物件を借り受けている。
2 転借人が転貸借契約の終了により賃貸物件を明け渡した場合、原賃貸人と管理業者は、転借人に対して、連帯して敷金返還債務を負う。
3 原賃貸借契約が管理業者の債務不履行により解除された場合、原賃貸人が転借人に対して明渡しを請求したとき、転貸借契約も終了する。
4 原賃貸借契約が合意解約された場合、原賃貸人が転借人に対して明渡しを請求したとき、転貸借契約も終了する。
平成30年度問9:賃貸不動産経営管理士公式テキスト掲載ページ
平成30年度賃貸不動産経営管理士試験問9に該当する部分は主に公式テキスト改訂3版第3編管理業務の受託 第3章に書かれています。
◆選択肢1について公式テキストp.306には、「管理業者は、原賃貸人(建物の所有者である場合が多い)との間で賃貸借契約を締結するため、原賃貸人との関係では借主の地位に立つ」とあります。
したがって、選択肢1は誤りです。
公式テキスト改訂4版ではp.289に同じ記述があります。
◆選択肢2について公式テキストp.306の用語の定義に、転貸借契約契約は「管理業者と借主の間の賃貸借契約」とあります。同様に、p.307には「サブリース方式に基づく賃貸管理においては、管理業者が貸主(転貸人)であり、入居者が借主(転借人)であって、両者間で転貸借契約が締結される。そして、管理業者は、転借人に対して、賃貸借契約(転貸借契約)に基づいて、直接の管理と義務を有することになる」とあります。
このため、「原賃貸人と転借人の間には、直接の契約関係は生じない」(p.309)ことになります。
したがって、選択肢2は誤りです。
なお、p.309には「転借人は原賃貸人に対して直接の義務を負う(民法第163条第1項)」とあることは付け加えておきます。
公式テキスト改訂4版ではp.289〜292にかけて同じ記述があります。
◆選択肢3について公式テキストp.308には、「原賃貸借契約が借主の債務不履行により解除され終了した場合、転貸借契約は、原賃貸人が転借人に対して賃貸物件の返還を請求したときに、転貸人の転借人に対する債務の履行不能により終了する(最判9.2.25 判タ936号175頁)」とあります。
したがって選択肢3は正しいです。
公式テキスト改訂4版ではp.294に同様の記述があります。
◆選択肢4について公式テキストp.311には、「原賃貸人と借主とが原賃貸借契約を合意解除しても、この解除を転借人に対抗することはできない(最判昭37.2.1 民集58号411頁)」とあります。
したがって選択肢4は誤りです。
公式テキスト改訂4版ではp.294に同様の記述があります。
選択肢4は平成29年度問9でも出題されました。
以上、正解の選択肢は3、正解番号は3です。
次の問題は賃貸不動産経営管理士試験平成30年度問10です。
◆賃貸不動産経営管理士試験過去問平成30年度・平成29年度・平成28年度問1〜問40の解説はこちらのページにリンクしてあります。
【過去問】平成30年度賃貸不動産経営管理士試験問1〜問40
【過去問】平成29年度賃貸不動産経営管理士試験問1〜問40
【過去問】平成28年度賃貸不動産経営管理士試験問1〜問40
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賃貸不動産経営管理士試験の合格率は?講習修了者と非受講者の違いは?
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【賃貸不動産経営管理士試験】おすすめテキスト・問題集 - 賃貸不動産経営管理士合格応援ブログ
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ちなみに平成29年度試験は公式テキストの範囲内から98.1%が出題されていました。
賃貸不動産経営管理士試験:公式テキストからの出題率(平成29年度)
しかも公式テキストの文言をちょっと変えただけの問題が多数でした。
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