賃貸不動産経営管理士試験過去問:平成29年度問29(建物の耐震診断)について、該当する公式テキストのページを記載するとともに要点を簡潔に解説します。
賃貸不動産経営管理士試験の過去問には『賃貸不動産管理の知識と実務 改訂3版:賃貸不動産経営管理士公式テキスト』そのままの文章が頻出しています。このため、賃貸不動産経営管理士試験の対策は公式テキストを中心に勉強する、というのが一つの方法です。
とはいえ、1,000ページもの分厚いテキストのどこに出題文がのっているのかを探すのも一手間かかってしまいます。このエントリーを賃貸不動産経営管理士試験合格に向けて参考にしてください。
- 賃貸不動産経営管理士試験過去問解答解説 平成29年度問29
- 平成29年度の過去問解説
- 賃貸不動産経営管理士試験過去問
- 宅建士とのダブルライセンスを目指しましょう
- 賃貸不動産経営管理士試験のおすすめテキスト
賃貸不動産経営管理士試験過去問解答解説 平成29年度問29
平成29年度
【問29】 建物の耐震診断と「建築物の耐震改修の促進に関する法律」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1 耐震診断は、建物に必要とされる耐力と現に保持している耐力を比較し、評価するものである。
2 特定既存耐震不適格建築物の所有者は、耐震診断を行い、診断の結果、地震に対する安全性の向上を図る必要があると認められるときは、耐震改修を行うよう努めなければならない。
3 昭和56年5月31日以前に新築の工事に着手した賃貸住宅(共同住宅に限る)は、特定既存耐震不適格建築物となる。
4 所管行政庁は、特定既存耐震不適格建築物の耐震診断及び耐震改修の的確な実施を確保するために必要があるときは、所有者に対し、必要な指導及び助言をすることができる。
賃貸不動産経営管理士公式テキスト掲載ページ
平成29年問29に該当する部分は主に公式テキスト第7編建物・設備の知識(第2章II建物の基礎知識と維持管理)に書かれています。
◆選択肢1について公式テキストp.792には、「耐震診断とは、建物に必要とされる耐力と、現に保持している耐力を比較し、その結果大地震の際にどの程度の被害を受けるかを評価するものである」とあります。
したがって、選択肢1は適切です。
◆選択肢2について公式テキストp.796には、「一定規模以上の建築物で、建築基準法の耐震規定に適合しない建築物(特定既存耐震不適格建築物)は耐震診断を行い、診断の結果、地震に対する安全性の向上を図る必要があると認められるときは、耐震改修を行うよう努めなければならないという努力規定が定められた(第14条)」とあります(建築物の耐震改修の促進に関する法律第14条)。
したがって、選択肢2は適切です。
◆選択肢3について公式テキストp.796には、選択肢2の文章に続き、「賃貸住宅(共同住宅に限る)については、3階以上かつ床面積1,000m²以上である場合がこれに該当し、建築基準法の耐震規定に適合していない場合(不明な場合は昭和56年5月31日以前に新築の工事に着手していること)、特定既存耐震不適格建築物となる」とあります。
したがって、昭和56年5月31日以前に新築の工事に着手した賃貸住宅(共同住宅に限る)が特定既存耐震不適格建築物となるのではありません。選択肢3は不適切です。
◆選択肢4について公式テキストp.796には、「行政庁は、特定既存耐震不適格建築物の耐震診断および耐震改修の的確な実施を確保するため必要があるときは、所有者に対し、必要な指導、助言をすることができるものとされた(第15条第1項)」とあります。
したがって、選択肢4は適切です。
以上、不適切な選択肢は3、正解番号は3です。正答率は75%。重要度★★。
正答率はKenビジネススクール2017賃貸不動産経営管理士解答速報、重要度は『賃貸不動産経営管理士過去&予想問題集』より
平成29年度の過去問解説
賃貸住宅管理業者登録制度、賃貸不動産経営管理士、管理業務の受託、借主の募集
問1:賃貸不動産等統計
問2:賃貸不動産経営管理士の業務
問3:登録制度
問4:登録制度
問5:管理受託契約
問6:登録制度
問7:基幹事務
問8:サブリース方式による賃貸管理
問9:サブリース方式による賃貸管理
問10:借主の募集
問11:借主の募集・入居者決定
賃貸借契約
問12:定期建物賃貸借
問13:賃貸借契約・解約申入れ
問14:敷金の承継
問15:賃貸借契約の保証
問16:賃貸借契約の承継・共有
問17:賃貸建物の修繕
問18:賃貸借契約の解除
問19:契約書の記載
問20:賃貸借契約の更新
問21:賃料改定
管理実務、建物・設備の知識、賃貸業への支援業務等
問22:内容証明郵便と公正証書の意義
問23:未収賃料の経理上の処理
問24:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン
問25:住環境の整備
問26:ガイドライン
問27:ガイドライン
問28:共同住宅の避難施設等
問29:建物の耐震診断
問30:給水設備・給湯設備
問31:消防用設備
問32:賃貸用建物の企画提案
問33:PMとAM
問34:保険
問35:租税公課
問36:不動産賃貸経営の法人化
4問免除問題
問37:賃貸管理の意義
問38:倫理憲章
問39:屋根・外壁等
問40:換気設備
賃貸不動産経営管理士試験過去問
賃貸不動産経営管理士試験過去問平成29年度
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宅建士とのダブルライセンスを目指しましょう
賃貸不動産経営管理士と合性が良く、最もダブルライセンスに向いている資格は宅地建物取引士です。
なぜなら、実務経験なしで賃貸不動産経営管理士に登録する場合、宅地建物取引士資格試験に合格・登録し宅建士証を交付しなければならないからです。
むしろ、宅建は賃貸不動産経営管理士とのダブルライセンスを取得しておくべき資格と言ったほうが良いでしょう。
2019年の宅建士試験は2019年10月20日に実施されます(賃貸不動産経営管理士試験の4週間前)。試験の難易度は賃貸不動産経営管理士のほうが宅建より低いため、前もって勉強していれば賃貸不動産経営管理士試験対策はそれほど時間をとられないかもしれません。宅建で学習する借地借家法(の借家部分)、宅建業法、法令制限の建築基準法、税金、相続などの分野の知識はそのまま賃貸不動産経営管理士試験に生かせます。
もちろん、賃貸不動産経営管理士試験に合格してから翌年度以降に宅建を受ける選択もあります。どっちつかずになりかねない方は、どちらか一つだけの受験に焦点を定めたほうが賢明です。ご一考ください。
賃貸不動産経営管理士試験と同様、宅建も合格点・合格ラインは年によって違います。このため、資格スクール・宅建講師による講座がたくさん開講され、各社・各講師が毎年合格ライン予想を公表しています。当ブログでは宅建本試験終了後に解答速報と合格ライン予想を時系列で追っていきます。自己採点にお役立てください。
なお、FP(ファイナンシャル・プランニング技能士)も賃貸不動産経営管理士と合性が良い資格です。試験範囲6分野の中に不動産と相続があるからです。FP3級は合格率60%ほどと難易度が低く、独学・短期間の勉強でも受かりやすい資格試験です。
FPは2級までとっておきたい資格です。FP2級の合格率は20%程度になりますが独学で合格できます。
賃貸不動産経営管理士試験のおすすめテキスト
おすすめテキスト・問題集です。
おすすめの理由はこちらの記事をご参照ください。
【賃貸不動産経営管理士試験】おすすめテキスト・問題集 - 賃貸不動産経営管理士合格応援ブログ
『賃貸不動産経営管理士試験対策問題集』5月14日発売。
『賃貸不動産経営管理士試験対策テキスト』6月4日発売です。出題ランクSおよびAの項目は絶対押さえておきましょう。
これもおすすめ。過去問の解説が『試験対策問題集』より丁寧。
ぜひこのレビューを参考になさってください。
賃貸不動産経営管理士 過去&予想問題集レビュー - 賃貸不動産経営管理士合格応援ブログ
『賃貸不動産管理の知識と実務 改訂3版:賃貸不動産経営管理士公式テキスト』
公式テキストは平成29年に出版された改訂3版が今年度・平成30年度試験にも使われます。購入の際は必ず正誤表を参照しましょう。
https://www.taisei-shuppan.co.jp/content/files/support/3285tsuiho3.pdf
第2版が発売されました。
『通勤時間でうかる! 賃貸不動産経営管理士試験一問一答〈第2版〉』