賃貸不動産経営管理士試験過去問:平成30年度問22(賃料未払の借主に対する明渡し)について、該当する公式テキストのページを記載するとともに要点を簡潔に解説します。
賃貸不動産経営管理士試験には『賃貸不動産管理の知識と実務 改訂3版:賃貸不動産経営管理士公式テキスト』そのままの文章が頻出しています。このため、賃貸不動産経営管理士試験対策の一つは公式テキストを中心に勉強すること、と言えます。
とはいえ、1,000ページもの分厚いテキストのどこに出題文がのっているのかを探すのは一手間かかってしまいます。このエントリーを賃貸不動産経営管理士試験合格に向けて参考にしてください。
賃貸不動産経営管理士試験過去問解答解説 平成30年度問22
平成30年度
【問22】賃料未払の借主に対する明渡しに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 明渡しの強制執行を行うための債務名義となるのは、判決における判決書のみであり、裁判上の和解調書は債務名義とならない。
2 強制執行を申し立てるに当たって必要となるのは、債務名義のみである。
3 未払賃料を支払うことを内容とする判決書は、建物明渡しを求める強制執行の債務名義となる。
4 賃貸借契約書に、「賃料を滞納した場合には、貸主あるいは管理業者は鍵を交換することができる。」との約定があっても、貸主は、建物明渡し前に借主の外出中に無断で賃貸建物の鍵を交換した場合、法的責任を問われることがある。
賃貸不動産経営管理士公式テキスト掲載ページ
平成30年度賃貸不動産経営管理士試験問22に該当する部分は主に公式テキスト第6編管理実務第2章(肢1、肢2、肢4)に書かれています。
◆選択肢1について公式テキストp.682には、「強制執行を基礎づける文書を、債務名義という。債務名義には、確定判決、仮執行宣言付き判決、仮執行宣言付き支払督促、和解調書、調停調書、強制執行認諾文言付き公正証書などがある(民事執行法第22条)」とあります。
※ただし、これらすべてが明渡しを実現させる強制執行の債務名義にはならないとのことです。肢3を参照ください。
したがって選択肢1は誤りです。
◆選択肢2について公式テキストp.682には、「確定判決などの債務名義だけでは強制執行の実行はできない。裁判所の「強制執行をしてもよい」という書類があって初めて強制執行を実行できる(民事執行法第25条)。この書類を執行文という」とあります。
したがって選択肢2は誤りです。
◆選択肢3について公式テキストには明確に記述している箇所は見当たりませんでした。
※肢1において、「強制執行を基礎づける文書を、債務名義という。債務名義には、確定判決、仮執行宣言付き判決、仮執行宣言付き支払督促、和解調書、調停調書、強制執行認諾文言付き公正証書などがある(民事執行法第22条)」(公式テキストp.682)と述べましたが、『賃貸不動産経営管理士試験対策テキスト 第8編明渡し・原状回復第1章強制執行の実施』には、「公正証書(強制執行認諾文言付き)、支払督促(仮執行宣言の付された支払督促)は、金銭債務を実現させる強制執行のためには債務名義となりますが、明渡しを実現させる強制執行では、債務名義になりません(執行力がなく、強制執行は可能にならない)」とあります。肢3の「未払賃料を支払うことを内容とする判決書」を金銭債務を実現させる強制執行のための債務名義に該当するなら建物明渡しを求める強制執行の債務名義にはならないと考えられます。
したがって選択肢3は公式テキストによる学習ではどちらとも言えず、次の選択肢4が明らかに正しいため、肢3はスルーせざるを得ないというのが管理人の考えです。※この点について異論があるかと思いますが、あくまで受験生側から見た場合の考えであることをご了承ください。また、公式テキストで明瞭に記載している箇所をご存知でしたらぜひご教示くださりますようお願いいたします。
◆選択肢4について公式テキストpp.659-660には、「私人に裁判所の手続きを経ることなく自己の権利の実現を認めることは、社会秩序に混乱を招くことになるため、自力救済は原則として禁止されている。(中略)賃貸借契約書に「賃料を滞納した場合には、貸主あるいは管理業者は鍵を交換することができる」と規定した場合には、貸主あるいは管理業者は、この規定に基づき鍵を交換することができるか。また、借主が賃料を滞納し、貸主との話し合いの結果「××月××日までに、滞納賃料全額支払わなかった場合には、賃貸借契約は解除され、借主は直ちに退去する。任意に退去しない場合には、貸主において室内にある借主の動産を処分してもかまわない。」という趣旨の念書が作成された場合に、貸主は裁判等によらずに、この念書にしたがい、借主の動産を処分して明渡しを実行することができるか。
この点、裁判になれば、前者については自力救済を認める条項が、後者については覚書が、いずれも公序良俗(民法第90条)に違反し無効となる可能性が高い」とあります。
したがって選択肢4は正しいです。
以上、正しい選択肢は4、正解番号は4です。
次の問題は賃貸不動産経営管理士試験平成30年度問23です。
注:法改正・新法施行などによって成立しなくなった問題があります。必ず最新の教材で学習してください。
>>>賃貸不動産経営管理士試験2021:おすすめテキスト・問題集【購入・詳細レビュー】
賃貸不動産経営管理士試験に本気で合格したい方へ
◆賃貸不動産経営管理士は、国家資格化に伴って仕事上必要になる方や就職・転職のために必要とする方が今後大幅に増えると思われます。
しかしながら、賃貸不動産経営管理士試験は「受験生の7割が不合格となる試験」になってしまいました。
本気で賃貸不動産経営管理士試験に合格したいのであれば、もはや「簡単に合格できる資格試験ではなくなった」ことをぜひ自覚してください。
◆賃貸不動産経営管理士試験合格に必要な勉強時間は100〜150時間とされています。当ブログでは125時間としていますが、それはあくまで最低限必要な時間です。
特に、これまで資格試験を受験をしたことがない方や、宅建になかなか合格できない方は200時間以上必要かもしれません。早め早めに勉強し始めることをおすすめします。
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- 何から勉強したらいいのか考えあぐねている方
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- 過去問解析講座
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すでに申し込んで学習している方もいらっしゃいます。早くから学習を始めた受験生ととそうでない受験生との差は大きいでしょう。
アガルートの賃貸不動産経営管理士...サクサク進む。
— ゆっこ (@yukko0571) April 1, 2021
工藤美香先生がサラッと講義するからなのか、聞くだけで合格できる?と錯覚😳‼️
受かるよね、きっと✨
◆テキストには、図ひとつとっても工藤講師の細かい指示が入っています。
テキストはこうして作るよ
— 工藤美香(アガルート) (@mikakudo_ag) March 14, 2020
入れ込んである図は、制作の方が私のこうしたい!ってメモ程度からここまでにしてくれます✨
水の位置もう少し高くねとかすごい細かい注文をしても完璧にしてくれる
私1人で出来る事は限られてるから、
仕事でも、やって貰って当たり前じゃない事は忘れずにいたい pic.twitter.com/DaCc4Zsian
ちなみに、昨年度試験の問49は解答速報の正解肢が各社で2と3に別れました。資格スクール・講師の中には当初2にしていたのを3に変更したり、3を2に変更したりしていた所もありましたが、試験日当日から解答を2とし、その後一切変更しなかったのは工藤講師だけでした。
◆実際に管理人も総合カリキュラムを購入してみたところ(自腹です・・・)、昨年度版テキスト・問題集が先行で発送されてきました。まずはこれを使って賃貸不動産経営管理士試験での最重要ポイントのひとつである賃貸借契約をひととおり学習し、同時に動画講義の視聴やFacebookグループでの質問に慣れておくことをおすすめします(Facebookグループではグループ内の他の方による質問と、その質問への工藤講師からの返信も閲覧できます)。
賃貸借契約は、初めて学習する方にとってかなり時間がかかりますので、ここさえきっちりおさえておけば後の学習がぐっと楽になります。今から学習し始めれば時間の使い方に余裕ができます。毎日少しずつでも良いので、1ヶ月で一通り終えられるようがんばりましょう!
※なお、今年度は初めて「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」から出題されます。よって、これまで出題されてきた賃貸住宅管理業者登録制度からは出題されなくなります。
したがって、2020年版総合講義第2編賃貸住宅管理業者登録制度および2021過去問解析講座上巻問4〜問31については「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」に準拠した改訂版が届いてから学習しましょう。
◆改訂版テキスト・問題集は6月末に発送予定です。こちらが届いたら 今年の最重点ポイントである「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」から学習し始めましょう。