賃貸不動産経営管理士試験過去問:平成30年度問16(滅失)について、該当する公式テキストのページを記載するとともに要点を簡潔に解説します。
賃貸不動産経営管理士試験には『賃貸不動産管理の知識と実務 改訂3版:賃貸不動産経営管理士公式テキスト』そのままの文章が頻出しています。このため、賃貸不動産経営管理士試験対策の一つは公式テキストを中心に勉強すること、と言えます。
とはいえ、1,000ページもの分厚いテキストのどこに出題文がのっているのかを探すのは一手間かかってしまいます。このエントリーを賃貸不動産経営管理士試験合格に向けて参考にしてください。
賃貸不動産経営管理士試験過去問解答解説 平成30年度問16
平成30年度
【問16】賃貸建物の全部又は一部が滅失した場合の法律関係に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 地震により賃貸建物が一部滅失した場合、修繕が物理的経済的に可能であったとしても、貸主は修繕義務を負わない。
2 賃貸建物が全部滅失した場合、当該滅失についての借主の帰責事由の有無にかかわらず、貸主は修繕義務を負わない。
3 賃貸建物が一部滅失した場合、当該滅失について借主に帰責事由がない限り、借主は使用収益が妨げられている割合に応じて、賃料の減額を請求することができる。
4 賃貸建物が全部滅失した場合、当該滅失について借主に帰責事由があっても、賃貸借契約は履行不能により終了する。
賃貸不動産経営管理士公式テキスト掲載ページ
平成30年度賃貸不動産経営管理士試験問16に該当する部分は主に公式テキスト第5編賃貸借契約 第2章(肢1、肢2)、第3章(肢2、肢3)、第六章(肢4)に書かれています。
◆選択肢1について公式テキストp.446には、「貸主は、賃貸物の使用および収益に必要な修繕義務を負う(民法第606条第一項)。修繕義務は、使用させる義務の当然の帰結である。賃貸不動産の破損等が天変地異等、不可抗力により生じた場合も貸主は修繕義務を負う」とあります。
したがって選択肢1は誤りです。
◆選択肢2について公式テキスト第五編には、直接言及している箇所が見当たりませんでした。
ただし、公式テキストp.458(第三章 借主の義務 Introductionの囲み)には「借主は、善良な管理者の注意をもって、貸室を保管する義務を負う(保管義務)。たとえば、失火により賃貸不動産を滅失させた場合、保管義務違反による債務不履行となる」、また p.446には「貸主は、賃貸物の使用および収益に必要な修繕義務を負う(中略)。修繕が不可能な場合は、修繕義務は生じない(東京地判平22.3.5 WLJP)」とあります。
したがって選択肢2は正しいと考えられます。
なお、肢2についてよりよい解答が公式テキストに記載されている場合は書き換えます。
◆選択肢3について公式テキストp.459には、「賃貸不動産の滅失に関し、民法は「賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる」(民法第611条第1項)と定め、」とあります。
したがって選択肢3は正しいです。
◆選択肢4について公式テキストp.546には、「賃貸不動産が火災や地震等により滅失した場合や朽廃し効用を完全に失った場合は、貸主は借主に賃貸不動産を使用収益させることができなくなる。この場合、貸主の義務が履行不能となり消滅する。そして、建物賃貸借契約は終了する。
なお、賃貸不動産の滅失につき、貸主または借主に帰責性があるとしても、それは損害賠償の問題にすぎず、建物賃貸借契約が終了する点には影響しない」とあります。
したがって選択肢4は正しいです。
以上、誤った選択肢は1、正解番号は1です。
次の問題は賃貸不動産経営管理士試験平成30年度問17です。
◆賃貸不動産経営管理士試験過去問平成30年度・平成29年度・平成28年度問1〜問40の解説はこちらのページにリンクしてあります。
【過去問】平成30年度賃貸不動産経営管理士試験問1〜問40
【過去問】平成29年度賃貸不動産経営管理士試験問1〜問40
【過去問】平成28年度賃貸不動産経営管理士試験問1〜問40
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賃貸不動産経営管理士試験:公式テキストからの出題率(平成29年度)
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