賃貸不動産経営管理士試験過去問:平成29年度問15(賃貸借契約の保証)について、該当する公式テキストのページを記載するとともに要点を簡潔に解説します。
賃貸不動産経営管理士試験の過去問には『賃貸不動産管理の知識と実務 改訂3版:賃貸不動産経営管理士公式テキスト』そのままの文章が頻出しています。このため、賃貸不動産経営管理士試験の対策は公式テキストを中心に勉強する、というのが一つの方法です。
とはいえ、1,000ページもの分厚いテキストのどこに出題文がのっているのかを探すのも一手間かかってしまいます。このエントリーを賃貸不動産経営管理士試験合格に向けて参考にしてください。
賃貸不動産経営管理士試験過去問解答解説 平成29年度問15
平成29年度
【問15】 賃貸借契約の保証に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1 保証人は、更新後の賃貸借から生ずる借主の債務については、別途、保証契約を更新しない限り、保証債務を負わない。
2 連帯保証人は、貸主から保証債務の履行を求められたときに、まず借主に催告すべき旨を請求することができない。
3 貸主が賃貸物件を第三者に譲渡した場合、保証契約は当然に終了し、保証人は新貸主との間で保証債務を負わない。
4 賃料債務の保証人の場合は、書面を作成しなくても効力が生じる。
賃貸不動産経営管理士公式テキスト掲載ページ
平成29年問15に該当する部分は公式テキスト第5編賃貸借契約に書かれています。
◆選択肢1について公式テキストp.573には、「契約更新後、保証契約も当然に継続されるかについて、最高裁は平成9年11月13日(判タ969号126頁)の判決において、マンションの賃貸借契約が更新された事案で、継続に反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情がない限り、賃貸借の保証人は合意による更新後の賃貸借から生ずる借主の債務についても責めを負うと判事した」とあります。
したがって、問題文の「別途、保証契約を更新しない限り、保証債務を負わない」は誤りとなるので、選択肢1は不適切です。
◆選択肢2について公式テキストp.572には、催告の抗弁権(民法第452条)と検索の抗弁権(民法第453条)について記載されています。
問題文は催告の抗弁権、すなわち「保証債務の履行を求められたときは、貸主はまず借主に履行せよと主張し、貸主がそれをしない間は保証債務の履行を拒否できる」について述べていますが、催告の抗弁権は連帯保証人にはありません(検索の抗弁権もありません)。
公式テキストp.572には催告の抗弁権と検索の抗弁権という「補充性」の要件について、「この補充性の要件は、連帯保証契約を締結することで排除することができる」とあります。
したがって、選択肢2は適切です。
◆選択肢3について公式テキストp.572には、「主たる債務の債権者に変更が生じた場合、保証債務も主たる債務に随伴して新債務者に移転する。もし、保証債務が主たる債務に随伴しないと、保証債務だけが旧債権者との間に存在してしまい、これでは主たる債務の人的担保とはなりえない。そのため、保証債務は主たる債務に随伴して移転する」とあります。
したがって、選択肢3は不適切です。
◆選択肢4について公式テキストp.574には、「平成17年4月1日の改正民法の施行により、軽率に保証契約を締結することを防ぐために、連帯保証契約は書面でなされなければ効力を生じないこととなった(民法第446条第2項)」とあります。
したがって、選択肢4は不適切です。
なお、書面での契約が必要なのは連帯保証人のみならず、保証人についても同様です(民法第446条第2項:保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない)。
公式テキストのp.574には引用の通り「連帯保証契約は書面で」としかありませんが、保証契約は保証人も連帯保証人も書面での契約(要式行為)です。
以上、最も適切な選択肢は2、正解番号は2です。正答率は92%。重要度★★★。
正答率はKenビジネススクール2017賃貸不動産経営管理士解答速報、重要度は『賃貸不動産経営管理士過去&予想問題集』より
賃貸不動産経営管理士平成29年度過去問解説
賃貸住宅管理業者登録制度、賃貸不動産経営管理士、管理業務の受託、借主の募集
問1:賃貸不動産等統計
問2:賃貸不動産経営管理士の業務
問3:登録制度
問4:登録制度
問5:管理受託契約
問6:登録制度
問7:基幹事務
問8:サブリース方式による賃貸管理
問9:サブリース方式による賃貸管理
問10:借主の募集
問11:借主の募集・入居者決定
賃貸借契約
問12:定期建物賃貸借
問13:賃貸借契約・解約申入れ
問14:敷金の承継
問15:賃貸借契約の保証
問16:賃貸借契約の承継・共有
問17:賃貸建物の修繕
問18:賃貸借契約の解除
問19:契約書の記載
問20:賃貸借契約の更新
問21:賃料改定
管理実務、建物・設備の知識、賃貸業への支援業務等
問22:内容証明郵便と公正証書の意義
問23:未収賃料の経理上の処理
問24:原状回復をめぐるトラブルとガイドライン
問25:住環境の整備
問26:ガイドライン
問27:ガイドライン
問28:共同住宅の避難施設等
問29:建物の耐震診断
問30:給水設備・給湯設備
問31:消防用設備
問32:賃貸用建物の企画提案
問33:PMとAM
問34:保険
問35:租税公課
問36:不動産賃貸経営の法人化
4問免除問題
問37:賃貸管理の意義
問38:倫理憲章
問39:屋根・外壁等
問40:換気設備
注:法改正・新法施行などによって成立しなくなった問題があります。必ず最新の教材で学習してください。
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