宅建テキスト・問題集・模試は各出版社から毎年数多く発売されています。当ブログではそれらの中からいくつか厳選して個別にレビューし、『購入レビュー:おすすめできる/できない宅建テキスト2021 - 賃貸不動産経営管理士合格応援ブログ』にまとめました。
LEC『2021年版出る順宅建士過去30年良問厳選問題集』以外の宅建テキスト・問題集も見ておきたい方はそちらもご一読ください。Amazonへのリンクから紙面デザインを確認できるものもあります。テキスト選びの参考になさってください。
2021年宅地建物取引士資格試験合格を目指し、がんばりましょう。
LEC『2021年版出る順宅建士過去30年良問厳選問題集』
LECから「過去問ベース」の模試集である『2021年版出る順宅建士過去30年良問厳選問題集』が、2020年版に引き続き発売されました。
本書は1990年からの宅建過去問から抜粋して本試験スタイル50問に揃えたものです。そのため、「予想模試」ではなく「模試型」過去問題集と謳っています。
本書の大きな特長は次の2点です。
- 過去問からそのまま(民法改正に対応して改題されているものを含む)出題されているため、市販予想模試で出題されがちである「珍妙な問題が見当たらない」こと
- LECのデータが十分に活用されていること
宅建は原則として過去問対策が何より大切です。
ただ、年度毎の過去問を繰り返しているとどうしても答えそのものを覚えてしまいます。
その点、本書は過去30年間の宅建過去問からチョイスして50問を組み上げているので、「年度別過去問を覚えてしまう」という宅建対策上ありがちな弱点がカバーされています。
さらに、「合格者正答率」の違い=難易度別の模試型過去問を解くことによって、自分の学習レベルがどのあたりなのかについて確認することができます。
ではLEC『2021年版出る順宅建士過去30年良問厳選問題集』基本データを紹介します。
※ここから先の内容は2020年版ものとなっています(一部基本データは2021年版です)。2021年版が届き次第、記事をアップデートします。
LEC『2021年版出る順宅建士過去30年良問厳選問題集』 基本データ
LEC『2021年版出る順宅建士過去30年良問厳選問題集』基本データです。
書名 | 2021年版出る順宅建士過去30年良問厳選問題集 |
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◆本書は50問の「模試」を6回分(統計については別の5問免除問題を出題)と令和2年度10月実施及び12月実施宅建本試験問題50問を収録しています。計8回分の模試として利用できます。※
◆8回分すべてに解答用マークシート用紙が付いてます。繰り返し解く場合はあらかじめコピーしておきましょう。
◆模試には難易度別に基礎編・中級編・上級編があり、それぞれ2回分ずつ収録。
◆解答には各問について合格者正解率、不合格者正解率、受験者正解率が記されています。
基礎編・中級編・上級編の難易度を検証するため、各編1回分について合格者正解率60%以上の問題が何問あるかを確認したところ、次の通りでした(※1999年以前の問題は正解率データが記載されていないため除外)。
- 基礎編①:47問
- 中級編①:40問
- 上級編①:32問
宅建試験は合格者正解率60%以上の問題を確実に正解できれば余裕で合格点を超えられます。
本書は模試6回分それぞれに合格推定点を付していますが、特に基礎編は合格推定点を大きく上回っておくべきです。合格者正解率60%以上の問題は「すべての選択肢について根拠を明らかにしながら正誤判定できる」よう確実に仕上げましょう。
◆本書は多くの宅建テキストと同様A5サイズです。『出る順』テキストと同じサイズで揃えてありますが、できれば本試験と同じA4サイズで出版してほしかったです。
本当に「良問」を「厳選」しているのか?
本書は「良問厳選」と名付けられています。本書では「良問」を「合否を決める頻出問題」としています(「はしがき」より)。
良問かどうかについて別の見方もあります。それは「捨て肢(すてあし)」が含まれている問題を排除しているかどうかです。
捨て肢とは難易度が高すぎるため正答率が非常に低い肢のことを指します。こういう肢は正解でも不正解でも合否に関係ありません。
捨て肢のなかには市販のどの宅建テキストにあたっても調べきれないケースがあります。捨て肢にこだわって余計な時間を空費することは避けるべきです。
では、本書の問題に捨て肢がどれくらい含まれているのでしょうか?検証のため、収録されている基礎編①・中級編①・上級編①の各1回について調べました(注:2020年度版についてのデータです)。
※捨て肢の確認には『みんなが欲しかった!宅建士の12年過去問題集』の2019年版・2020年・2021年版を用い、「できなくても問題ナシ」と表記されている問題を抽出。さらに『2019年度版スッキリとける宅建士過去問コンプリート12』及び2020年度版・2021年度版『スッキリとける宅建士論点別12年過去問題集』を使ってどの肢問が重要かそうでないかをチェックしました。
二重チェックの結果、捨て肢が含まれていた問題数は以下の通りです
- 基礎編①:なし
- 中級編①:1問(ただし問題自体は合格者正解率90%以上)
- 上級編①:4問
上級編①の4問のうち、2問は捨て選択肢が1つだったものの合格者正解率が80%以上と絶対に落とせない問題だったので良問に入ると思われます。
残りの2問については合格者正解率が50%未満でした。
したがって、捨て肢が含まれていてなおかつ合格者正解率が低い2問は、上級編の難易度調整のために組み込まれていたものと思われます。
以上から、本書は捨て肢のある問題は編集でかなり排除されており、良問が厳選されているものと思われます。
なお、本書はあくまで「過去問ベース」の模試ですので、「予想模試」とは赴きが異なります。
しかしながら、漫然と予想模試に取り組むのでは無く、受験者正解率データに裏打ちされた「絶対落とせない問題」を意識しながら120分50問形式で過去問に挑むには今のところ最良の模試集と言えるでしょう。