『みんなが欲しかった! 宅建士の教科書2024年度版』の購入レビューです。本書はAmazon等では毎年売れ行き上位となっていますが、正直言っておすすめできない宅建テキストです。
注:初めて宅建を学習する方がいきなりテキスト・問題集で学習し始めることはおすすめしません。
宅建学習も英語学習と共通点があります。英語学習の基礎の基礎は単語を覚えること。宅建も同じです。宅建用語を当たり前に使えないと問題を解けません。
善意、悪意、過失、制限行為能力者、区分所有者、相殺、錯誤、被相続人などは当たり前に登場します。取消と無効も当たり前に登場しますが、明確に違います。どれもこれも基礎の基礎です。
まずは宅建用語に慣れることから学習をスタートし、はじめの10日間をかけて宅建試験全体の解像度を上げておく(用語に慣れる、どの法律からどんなことが出題されるのか、どの法律から何問出題されるのか、などなど)ことを何よりもおすすめします。
教材は30日間無料で利用できる『パーフェクト宅建士 聞くだけ』がベストです。13時間未満で宅建試験範囲をざっとカバーできます。
テキストを開く前に耳学習で宅建用語に慣れておきましょう!
『2024年度版 みんなが欲しかった! 宅建士の教科書』 基本データ
TAC発行『2024年度版 みんなが欲しかった! 宅建士の教科書』基本データです。
書名 |
2024年度版 みんなが欲しかった! 宅建士の教科書 |
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Kindke版 の価格 |
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ページ数 | ②権利関係228頁 ③法令上の制限・ ※索引を除いた頁数 |
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◆テキスト部分は590ページ(索引除外)、参考編を加えると621ページのボリュームです。
3分冊に分けられます。
分冊しておけば携行性しやすくなります。分冊それぞれの巻末に索引が付いてます(法令上の制限・税・その他と参考編の索引はひとまとめになっています)。
◆昨年度版になってやっとKindle版が発売されました!
◆発行はTAC出版。フルカラーです。
重要項目は赤字で書かれており、参考書によくある赤シートに対応しています。赤シートも付録についています。
◆昨年版と同じ巻頭企画が二つあります。
一つは「目で見る用途地域」。各用途地域がカラー画像とともに紹介されています。
もう一つは「目で見る補助的地域地区」。こちらも補助的地域地区(特別用途地区とか高度利用地区とかですね)がカラー画像とともに紹介されています。
用途地域・補助的地域地区はどちらも重要項目ですが、テキストの文章だけではなかなかイメージしにくいのが難点です(国土交通省のHPなどを参照するのが良いです)。
これらの巻頭企画は用途地域・補助的地域地区をイメージするのに役立ちます。ただし、今年も田園住居地域の画像がなかったのは残念でした(使い回し・・・)。
田園住居地域についてはこちらの記事をご参照くだされば、と思います。>>>【2018年度宅建試験重要項目】田園住居地域制度の創設(新たな用途地域の追加)
◆本書の各セクションタイトル下には『みんなが欲しかった!宅建士の問題集2024年度版』のチャプターおよび問題番号が記載されています。宅建テキストから宅建問題集へのリンクを施しているのは、他にはユーキャンとLECの『トリセツ』・『とらの巻』くらい。このポイントは評価できるものの、他に大きな欠点があります。
『2024年度版 みんなが欲しかった! 宅建士の教科書』 詳細レビュー
それではTAC『2024年度版 みんなが欲しかった! 宅建士の教科書』の詳細レビューです。
「板書」が見づらい
2021年度版から引き続き、テキストは、①主説明文、②「板書」と呼んでいるイラスト付き要点解説、③応用知識や補足資料等を記した「ひとこと」、④1〜2題の例題から構成されています。
気になるのはあいかわらず板書が見難いことです。
フルカラーを活かしたとてもカラフルな板書ではありますが・・・
- 主説明文と板書のフォントが違う
- 小さなフォントを多用している
- 色使いが多すぎる
これら3つの相乗効果のせいか、ブログ管理人には板書が非常に見難いです。学習以前の問題です。
◆本書のコンセプトは"「読む」というより「見て」わかる本"です(はしがきより)。
このコンセプトにしたがって、視覚的にわかりやすくしようとの配慮から本書を構成していることは理解できます。
しかしながら、色・フォントの大小・フォントの種類を多用しすぎている「こだわりのカラー図解」はむしろインプットを妨げかねません。見る(読む)のによけいな労力がかかってしまうんですね。
もちろん、これは人によって好みが別れるところです。視力に問題の無い方・色使いにあまり頓着しない方にはカラフルさ・フォントの小ささは苦にならないかもしれません。
Amazonの商品ページでサンプルを読めます。購入する前に画像を見て検討してください。
条文番号は記載されていないが・・・
法律の条文番号は必要最低限しか記載されていません。宅建本試験を解く上で覚えておいたほうがいいのは宅建業法「34条の2書面」、「35条書面」、「37条書面」、そして農地法の3条・4条・5条ぐらいなのでこれは良い点なのですが・・・宅建テキストの善し悪しを測るチェックポイントの1つである国土法については事後届出制が主に出題される等のポイントが一切ありません。
本書を選んでしまうと、事後届出制も事前届出制も等しく学習させられてしまいます。要注意です。
宅建士の罰則についても本書は要注意です。『宅建士 合格のトリセツ 基本テキスト』には「深追い厳禁」、『どこでも学ぶ宅建士 基本テキスト』には「本試験では、罰則の具体的な数字を覚えていなくても(略)」と学習ポイントが明記されています。しかしながら、本書にはそういった学習ポイントが一切ありません。
おすすめできません。
インターネットアフターサービスあり
宅建テキストは、一度購入したらそれでOKというわけではありません。
宅建は毎年4月時点の法改正が試験範囲に入ります。出版時期によってはそこをカバーしないテキストがあるのはある程度やむを得ません。
この点をフォローするのがインターネットアフターサービスです。
『2024年度版 みんなが欲しかった! 宅建士の教科書』には法改正のフォローサービスがあります(2024年7月より)。※正誤表もTAC出版のサイバーブックストアから確認できます。必ず定期的に確認しましょう。
ほかにも購入者特典として、テキストに掲載されている例題のダウンロードサービスの他、新たに重要数字暗記対策用アプリが加わりました(2023年11月上旬よりサービス開始予定)。本書を購入したら忘れずにチェックしましょう。